若手社員教育③

早朝、腹部に激痛があり目が覚めた。

額には脂汗が流れ、今まで体験した

ことがない痛みだった。

トイレに行こうとするのだが、

あまりの痛みに

意識を失い床に倒れた。そのあとの事は

あまり覚えていない。

奥さんがびっくりして救急車を呼び

病院に緊急搬送されて

点滴や検査処置をされたが

そこも意識が薄くあまり覚えていない。

とにかく「痛い」だけ。

病名は

虚血性大胃腸炎とのことで4日間の

絶対安静と

医者から言われて入院せず帰宅した。

私は布団の中で考えた

「この事はなにか意味が

あるかもしれない。嫌な事を無理してやっていない?自分が年長だから

若い奴らを助ける事が当たり前と思い込んでいない?」

そんなことを考え始めた。

例の見積の件もまだ終わっていない。

その割には今回の不始末の当事者のMさん

からは何の連絡もこないし、

完全に丸投げ状態だ。

ただ、その仕事を請けた以上は

途中で投げ出す事はありえない。

体調不良の中、見積作成を進め、提出する。

結果は「失注」

予算が合わず、競合が受注したと

連絡があった。

当たり前の結果だ。そのことはいい。

問題はMさんのその後の態度だ。

これだけ人に頼っておきながら

「ありがとうございました」の

一言も無いし、自分を避けて

一切口をきかなくなった。

自分としては礼を言って欲しいために

彼女を助けた訳ではない、

しかしこれだけの状況になった後には

一言が欲しかった。腹が立った。

悲しかった。

いまどきの若い人はというつもりは

全くないが

人としてどうかなと思うし、

職務の教育の前に

「相手の立場に立って行動する」

という事が分からない若手に

自分は教育はできないと、

上司に伝えた。

その上司も違う若手の尻ぬぐいをさせられて

同じような状況との話で

「どうしましょうか」と

逆に相談されている始末。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若手社員教育②

私の地道な作業が始まった。

まず該当する部位の平面詳細図を

書かなければならない

台所8畳+居間8畳=16畳を

続き1間にする要望だ。

おまけに壁付きキッチンを

対面キッチンにするため

掃出しサッシをつぶして壁にするプラン。

全く問題ないじゃないか、

これは案外やりがいがあるぞ。

前職のカスタマーズサービスでは

図面を書くなんて皆無だったので

新鮮な快感を感じた。

年末年始をしこしこと

そんな感じで仕事をたまに

しながら過ごし

2023年の年が明けた。

仕事初めからフル回転だ。

キッチンメーカーからの図面データを

突貫で提出させ、

土日祝日も仕事をしていた。

思えば当時なぜそんなことを

していたかというと

そのMさんを教育して

一人前にしてみせるという

馬鹿げた思い上がりの気持ちが

あったのだと思う。

人は一生懸命動けば、一緒にいた人も

感化して成長できるみたいな。

 初回の打合せにMさんと

支店営業のNさんと3人で伺うことになった。

Nさんも女性で入社2年目の若手だ。

彼女も優秀な方で

女性はやっぱり仕事ができる方が多い。

しばらく放置していたので菓子折を

持参してまずは謝罪から入る。

なんやかんやで2時間打合せした結果、

お客様の方向性が一貫しておらず

それでいて変なこだわりがありそこは

譲らないタイプなので

「厄介だ」思った。

Mさんが拒否したい気持ちが少しはわかる、しかし放置は絶対ダメだ。

顔合わせ以降、頻繁に電話が

かかってくるになった。

さっきはこう言ったけど、やっぱり

こっちでお願いね。と変更多い。

工事予算もこのイメージで厳しいかなと

思いつつ、2度目の打合せに1週間後に伺う

そこでもまた2時間、あーでもないこーでもないと。

この週末にユニットバスやキッチンのショールームに行き仕様を決めてくると言う。

親戚の方が手配してくれたとのことだが、

どうも怪しい、

裏情報では競合の段取との事だ。

そもそも、我々がもたもたしている間に

競合は何度も打合せをして見積も提出済みだ。

完全に負けている。

誰も敗戦処理なんかしたくない、

しかし今はそれが自分の仕事だ。

そして打合せの次の日の

早朝、事件が発生する。

 

 

若手社員教育①

現在の職場ではキャリアがある

転職者とみなされて、リフォーム営業の他

20代後半の若手社員の教育も会社から

依頼されており、その都度相談を受ける

立場でもある。若い人から相談される事は

自分としても気分が良い。

しかし現実はそんなに甘くないことを

後日知らされる。

「あのー、相談してもよろしいですか?」

入社5年目のMさん(女性)から声を

かけられる。

彼女は向上心があり仕事ができる人

というイメージが強い。

昨年からリフォーム部署に配属され、

よくわからない事が多く、

いろんな人に聞きながらなんとか

こなしてきた感じだ。

「はい、どうしましたか?」

基本年下でも会社では先輩なので敬語だ。

「実は1か月以上前に訪問したお客様の件なのですが、自分としては断りたいのですが

どうして良いかわからなくて...課長にも相談したのですが自分で考えろと言われて...」

「??? ちょっと待ってください。1か月前?、断りたい?なぜですか?」

「ええ、大規模なリフォームを検討してるらしく、設計の方に同行してもらって訪問したんですが、「ここヤバイよ」て設計から言われたんです。それは親戚に工務店の社長がいるらしくその方が口出してくる恐れがあると言ってるから怖いんです。」

意味不明。営業は受注するのが仕事だ、それを放棄するとは何を考えているのか。

「ちなみにその親戚の方とお話はしたのですか。」

「してません。」

「それでは断る理由がないですね、あと時間がかなり経過してますが...」

「はい、昨日催促の連絡が来ました」

「えー!それ早く対応しないとそれこそヤバイです。」

「それで、相談しました。」

また、火消し役だ、自分はいつもこういう役目がまわってくる運命にあるのか。

彼女からヒアリングした結果、

整理するとこうだ。

①浴室、洗面所改修(普通)

②台所・居間をLDKへ(重い)

②のリノベが非常に厄介で、壁撤去及び補強がからみ大事になってくる。

これは検討図をCADで書かなければならない、彼女はCADを使えない

自分も16年もCADを使っていない、

でも誰もいない。

自分がやるしかない!

2022年12月末から、JWCADのテキストを見ながら検討図の作図に取り掛かり

新年早々の打合せの

準備をすることになった。

口で指示や助言するよりは

彼女には私の行動を見せて、自分のしたことの重大さに気がついてもらいたかった。

ファン客②

第二の営業としてのアプローチとしては

当たり前のことだが

オーナー様から「気に入らない」と

思われない事だ。

第一印象でこの人「ダメ!」と思われると

次にステップに行くことができない。

商品としての家に対する評価、会社に対する評価など

様々な思いでいるところに、飛び込んで行くわけなので、

慎重な対応が必要だ。

※駐車の仕方、

インターホンを押してからの動作、

挨拶の仕方等 ちょっとしたしぐさで

誤解される場合もある。

一番最初の訪問で攻略すべきなのは

「奥さん」

家についてのキーマンは間違いなく

「奥さん」であり

クレーム等は奥さんサイドから

発信されている。

もちろん、土日の休日訪問なので

旦那がいるのだが

いいずらい事は旦那から言わせている

パターンがほとんどである。

現に何度か対応に訪問した時に旦那から

「すみませんね。私は気にならないのですが

嫁が言ってるんで。。。」

何回も経験した話だ。

人の情としては実際は些細な事だが、

数千万円の買い物をしているとそういう

気持ちになるのはわかる。

自分としてはまず相手の立場になって

話を聞く、決して否定しない。

相手が言ってることが間違っていても

最初は同意することが肝心だ。

しかし、長い事この業務をしていると

一筋縄ではいかない者もでてくる。