私の地道な作業が始まった。
まず該当する部位の平面詳細図を
書かなければならない
台所8畳+居間8畳=16畳を
続き1間にする要望だ。
おまけに壁付きキッチンを
対面キッチンにするため
掃出しサッシをつぶして壁にするプラン。
全く問題ないじゃないか、
これは案外やりがいがあるぞ。
前職のカスタマーズサービスでは
図面を書くなんて皆無だったので
新鮮な快感を感じた。
年末年始をしこしこと
そんな感じで仕事をたまに
しながら過ごし
2023年の年が明けた。
仕事初めからフル回転だ。
キッチンメーカーからの図面データを
突貫で提出させ、
土日祝日も仕事をしていた。
思えば当時なぜそんなことを
していたかというと
そのMさんを教育して
一人前にしてみせるという
馬鹿げた思い上がりの気持ちが
あったのだと思う。
人は一生懸命動けば、一緒にいた人も
感化して成長できるみたいな。
初回の打合せにMさんと
支店営業のNさんと3人で伺うことになった。
Nさんも女性で入社2年目の若手だ。
彼女も優秀な方で
女性はやっぱり仕事ができる方が多い。
しばらく放置していたので菓子折を
持参してまずは謝罪から入る。
なんやかんやで2時間打合せした結果、
お客様の方向性が一貫しておらず
それでいて変なこだわりがありそこは
譲らないタイプなので
「厄介だ」と思った。
Mさんが拒否したい気持ちが少しはわかる、しかし放置は絶対ダメだ。
顔合わせ以降、頻繁に電話が
かかってくるになった。
さっきはこう言ったけど、やっぱり
こっちでお願いね。と変更多い。
工事予算もこのイメージで厳しいかなと
思いつつ、2度目の打合せに1週間後に伺う
そこでもまた2時間、あーでもないこーでもないと。
この週末にユニットバスやキッチンのショールームに行き仕様を決めてくると言う。
親戚の方が手配してくれたとのことだが、
どうも怪しい、
裏情報では競合の段取との事だ。
そもそも、我々がもたもたしている間に
競合は何度も打合せをして見積も提出済みだ。
完全に負けている。
誰も敗戦処理なんかしたくない、
しかし今はそれが自分の仕事だ。
そして打合せの次の日の
早朝、事件が発生する。